memories
2006/04/26

 

約12年半前に我が家に来たその子は、

小さな体と顔の割りに、大きくタレた耳が印象的でした。

 



 

『鳥海』と名付けられた、まだ小さなその子を、

これから冬になっていく季節に、外で飼うのは可哀相だろうと、

家の中で飼うことにしました。


タオルをひいたダンボールが、その子の寝床でした。

 

外でも家の中でもいつも駆け回っては、何にでも興味津々で、

とりあえず、噛んだり、引っ掻いたりと、かなりのヤンチャぶりでした。


そして、目の前で大きな音を立てて割れた風船を、

見るだけで逃げ出すほど、大の苦手となりました。

 

成長すると、半分秋田犬の血をひくその子は、体も大きくなり、

家の中を1階から3階まで縦横無尽に駆け回っていました。


家の中で甘やかして育てたせいか、態度もデカい子になりました。

 



 

知らない人には家の前を通るだけでもよく吠えたので、

遊びに来た友人が家の中で追い駆けられてビビッてました。


プライドが高いのか、気に喰わないことをすると

飼い主にも噛み付いてきました。


オイラの右のふくらはぎには、未だ歯の跡が残っています。

 

 

それでも、かわいい子でした。

 

 

日向ぼっこが好きで、日の差す所を見つけてはゴロンと転がってました。



何か食べてると、いつもすぐに寄ってきて、

お座りしては尻尾をふりながら目を輝かせていました。



ふざけて父と母が叩き合っていると、「ケンカはやめろ!」

と言わんばかりに吠えながら間に入っていました。

 

ウチの一員でした。

 

 

家族でした。

 

 

 

 

 

約12年半の間、我が家で一緒に暮らしたその子は、『鳥海』は、

 

 

 

 

 

今日、死にました。

 

 

 

 

 

もう、外から帰ってきても、『鳥海』が出迎えてくれることはありません。


もう、飯を食ってても、横に張り付くように寄ってくる『鳥海』はいません。


もう、『鳥海』の声を聞くことはありません。

 

 

「「おい」と呼ぶ相手がいなくなった」と言った、父の言葉が印象的でした。


「玄関入る時に名前を呼びそうになるね」と言った、母の言葉が印象的でした。


「まだ家のそこいらで犬の臭いがするよね」と言った、兄の言葉が印象的でした。

 

 

 

幸せだったのかな?

 

ウチに貰われて来て、『鳥海』は幸せだったのかな?

 

 

 

オイラは、『鳥海』に会えて、幸せでした。

 

ウチの家族はみんな、『鳥海』という家族が増えて幸せでした。

 

今はただ、安らかな、『鳥海』の冥福を祈るばかり。

 

ありがとね。

 

さよならね。

 

ありがとね。

 

 

 

 

 


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