No.010 穴埋め


先日タガネで穴を空けちまったリングを直しただぁよ。
で、本日は掲示板にてその直し方の質問を受けたので解説っす。


それでは、まずはコチラをご覧下さいっす。



すでに穴を埋めてしまっていたので、もう穴が埋まってるんすけど・・・

まあ、赤丸のとこに注目してください。
本当は左のようにリングのウデに入れたダイヤの下に
彫りを入れてちっちゃい玉をコロコロ作る予定だったんすけど、
反対側の方が彫りを入れたときに見事に穴が空きまして、
画像右のように地金の木っ端を入れて埋めたんす。

なぜ穴が空いたかというと、原因は裏側にあるんす。



↑画像で見てもらって言うと、ウデを割ったときにいつもは金の地金が
赤線まであるんすけど、今回は割り過ぎてしまって金の地金が無くなって
いたんすねぇ〜で、ちょうどそこはリングの横の部分なので、
金の上に張ったプラチナの板もすられて薄くなっていたんすねぇ〜
で、一方はセーフだったけど、一方は穴が空いてしまったんす。


では本題っす。石留めの際に穴が空いた時の直し方っすね。
今回のケースでは、まず穴が空いたトコを角棒の入りやすいように
削ったっす。で、角棒を挿してロー付けるって方法で穴を埋めたっす。
後はキレイにすれば↑↑の画像右のようになるっす。


さて、ここでポイントとなる事はというと、


@ 足す地金を穴にピッタリ挿し込む。

A ダイヤを割らないよう、短時間でロー付ける。



@は軽くカッターでバリなど削り、ヤスリで穴の形を整え、挿し込む地金の
形もそこにうまく合わせるって事で、挿し込む地金の方を少しナナメにすって、
入れる方を気持ち細めにしておくと挿しやすいっす。

Aの方はかなり経験とカンがいるんすが、9金ローなどの早いロー
使って、酸素バーナーの細くて強い炎で「ちゅるっ!」とダイヤの方に
あまり熱が加わらない内に溶接を素早く完了させるんす。
品物をボンプロなどの酸化防止液に付けてダイヤには
ヒートブロックなどのペーストの断熱材を付けとけば更に安心っすね。

今回のケースではこんなとこがポイントっすね。


あと、他のケースの場合、

爪が飛んじゃった場合は、そこを爪の太さのドリルで揉んで、
爪の太さの丸線を挿してロー付ける。

石が火に弱い場合は、石を外して板をすりとるか抜いてしまって新たに張る。
離れた場所に石が入ってる時は綿を濡らして巻き、綿が乾く前に溶接を完了させる。

いずれにしてもかなり高い溶接技術が必要っす。


で、穴が塞がったらあとは出来るだけ自然に見えるように彫りを入れれば完了っす。



すでに磨き終わってますが、こんな感じでいかがでしょう?

以上、石留めの際に穴が空いた時の直し方の解説は終了っす。


最後に出来上がった品物をご覧あれ〜



ちなみに、これを一日で板から作れれば、プロとして工賃だけで
食っていけるんじゃないでしょうか?



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(2005/09/20)

poko